いつも通り、マーベリックの渋い顔。でも、今日は、まんざらでもなさそう。
写真が嫌いで、スマホを向けると迷惑そうな顔をすることが多いけど、桜に近づくと、表情がとたんに柔らかくなった。
おでこに桜の影が映ってる。
香りのある梅が好きな私だけども、ここに来て、桜を全身に浴びると、重たいもの全部洗われた気分になった。
匂わず、控えめなのに、透き通るような生命力で、
新しい始まりの扉を開く。
しばらく見上げていて、ふと、東京の桜はどんなかな?と思っていたら、母からメールが。
スマホの中に、東京の桜が届いた。
神田川沿い
こぼれるような桜
見ると、とたんに、東京の懐かしい匂いまでも立ち上がってくる
突き抜けた白と、生ぬるい春の空気
手を伸ばしても届かない、膨らむ期待と不安
記憶のかけらは
望郷の匂いとともにしまわれている