そして、続きのお話・・・・
あれは、2016年も年押し迫った頃だった
まべがうちに来たばかりのあの頃は、夜、大型犬も入る大きさのクレートに入れて寝させていた
冬だったから、クレートの下にあんかを仕込んで、寒さ対策は万全
柔らかいタオルも入れて、居心地の良い空間を作ってあげた上での就寝のはずだった・・・
しかし、どこからともなく、家じゅうに、およそ犬のものとは思えない、ゴジラみたいな遠吠えが響き渡る
私が起きてきて、クレートの扉を開けると、目を真っ赤にして飛び出してきて、初めはうれしくて飛びついてくるんだけど、それがエスカレートして、顔つきが変わり、腕に、袖に、噛みついてくる。
”バスカービル家の犬”みたいに、首を振って引き裂く動作。
そうなると、叱っても、それは、火に油を注ぐようなものになった。
その時は、まべ、すごく必死な顔をしていた。
その後も、手あたり次第、置いてあるものを、引き裂く・・・
おもちゃはもっても5分!
ぶちぶちってやな音が聞こえて来たら・・・
わたが出てきて・・・
やむなく没収
まべ「まだ遊びはこれからなんですけど」
ひたすら壊す・・・
私に「遊ぼう!ボール投げて!」と、自分から誘ってきたから
ボールを投げてあげた
嬉しそうにボールを持って来た!!と思ったら、
素通りする
たまにボールを持ってきても、決して放さない・・・
この顔、どこかで見たことがある・・・
まべさん、俵屋宗達作「雲竜図屏風」のモデルを務められていらっしゃいましたか?
あまりにやりたい放題の下手人は逮捕されて・・・
叱られて、いじけて・・・
あまえる・・・・
べったりはとどまることをしらず・・
まべは、甘えたとアグレッシブな表現の両極端にふれていた。
ちょうどそのころ、
BBCか何かで、鳥の学習能力についての番組があったのを観た。
「とりあたま」なんていわれるけど、
実は鳥はとっても頭が良いという話。
その一場面で、とても印象的だったのがある。
それは、動物行動学の実験のために飼われたカラスのお話で、
そのカラスは、ある研究者にとてもなついていた。
ある時、研究者がしばらくそのカラスに会いに来られない日が続いた。
そののち
そのカラスが、研究者に久しぶりに会ったとき、どんな行動をとったかというと、
素直には甘えず、まずは噛みついたりつついたりしてかんかんに怒ったんだ。
それから最後に、猛烈に甘えてた。
そういえば、人間の子供でも、そんなこと、あるよね・・・
私が衝撃を受けたのは、カラスにも、そんな”拗ねる”ような感情があるってこと。動物の感情って、とても豊かで複雑なんだと思う。
で、話は、まべに戻るけど
まべは、うちに来てから数か月は、渋々ながらクレートに入って寝てたんだ。
でもある夜、クレートに入れる前に、マーベリックが、扉の開いているクレートの中に入って、聞いたこともない声で、がうがう、ひっくり返って暴れているのを見たの。
その姿を見て、その日はクレートに入れずに寝かしたんだ。
その日、まべは、ちょっと落ち着いた。
それから、寝るときにクレートには入れていない。
軍用犬のように規律正しいことが必要なわけじゃない
ボールを追いかけるのもいいけれど、まべがそれを楽しいと思わないなら、べつに”持ってこい”なんてできなくってもいい
まべは、豊かな感性の中で、自分の感情の表現の仕方が
まだわからないだけ
そんな風に考えて、それからは、
まずはまべのいうことに耳を傾けてみることにした
きっとその後に、まべは自然に、こちらの言うことを理解しようとしてくれるようになるだろう、と思って。
まべ「これからもその調子でよろしくお願いしますよ」
パチン!
このあと、まべと私の散歩漂流記が始まるんだけど・・・
それはまた、別のお話に。