おもちゃのねずみをくわえて見せに来るごいし
道路でうずくまってやせ細った子猫を保護し、ごいしと名付けた
保護初日のウイルス検査では陰性だったのに、その後、猫カゼや猫カビ、寄生虫と様々な病気に見舞われた
そして1か月後の再検査で、猫白血病ウイルスと猫免疫不全ウイルスの両方に感染したダブルキャリアであることが判明
それから1年、保護してから病気の治療、現在に至るまでのごいしの体験の記録を残しておこうと思いました
私は、ごいしがダブルキャリアだとわかってから、他の方のブログを見て、参考にさせてもらったり、希望をもらいました
素人なので情報は間違ったこともあるかもしれませんが、ごいしのした経験を同じような病気の子を育てている方と共有し、自分の記憶の整理ができればという思いでいます
これは、個猫的、ひとつの経験としての記録です
陽性が発覚するまでの経過
2022年 7/16 車道の真ん中で動けなくなっていた子猫と出会う。 痩せすぎて動けない状態で保護 動物病院で健康診断と寄生虫駆除。ウイルス検査陰性 猫カゼ罹患 のどにおできのようなぽちっとした腫瘍あり。 生後推定2,3か月 | |
7/17 猫缶と水を飲めるようになる 甘えん坊で、人が見ていないとご飯を食べない | |
7/20 初めての排便。ずっとしないので心配した。 若干の腸閉塞あり | |
7/27 ワクチン接種 →その後発熱と足を振る仕草(関節や神経の痛みか) | |
7/31 はげがあり、猫カビと判明 真菌薬で治療 | |
8/4 保護当初より続いていたくしゃみが収まってきた。 ご飯をウエットからドライに切替 | |
8/10 便がやわく、渋りあり ドライにしたご飯をウエットに戻す | |
8/11 声がかすれ、少し元気がない。 エアコンの温度管理が難しくて苦慮 | |
8/16 新たな脱毛 ベットに香箱座りで動かない ごはんを食べなくなる | |
8/17 動物病院 熱が40℃ 血液検査の結果、白血球と血小板の数値が低い パルボウイルス検査 陰性 インターキャットと点滴 ステロイド経口薬 夜からチュールを食べる | |
8/18 朝起きると、にゃーと鳴いて駆け寄ってくる ご飯食べられるようになる インターキャット注射 2回目 | |
8/19 インターキャット注射 3回目 | |
8/20 元気を取り戻し、排便も正常になる | |
8/23 再びくしゃみ 頭頂部に小さな脱毛 そこに赤い腫瘍のようなぽっち発見 | |
8/29 くしゃみと息切れ 瞳孔がきゅっと閉じたり開いたり、 突然飛びついてきたりする 食欲はある |
8/31 ウイルス検査
猫白血病ウイルス猫免疫不全ウイルス陽性
結果を受けた私の思い
シングル感染は覚悟していたが、まさかのダブルポジティブ
保護したてのウイルス検査陰性から、1か月半後に陽性判明
説明は受けていたが、時期をおいての検査が必要なことがわかる
1回目の検査では陰性だったことからの推測で、保護する直前の感染が有力
ごいしの、のどと頭のてっぺんにあるポッチ状の腫物が、感染した猫に噛まれた傷だとすると、頭をまるっと噛まれた可能性があることがわかる
保護前に、ごいしの一家がオス猫に襲撃され、母猫も兄弟も散り散りになってしまったのかもしれない
そしてまた、ごいしを噛んだ猫が、ダブルキャリアであることを考えると、野良猫の置かれた過酷な状況に、「町に野良猫がいていいね」ではない現実を知った
獣医師の所感
今後の対応を獣医師から聞く
現在、これらのウイルスへの有効な治療法はない
具合が悪くなったら、対処療法的にその都度、症状の改善を目指すのが今のやり方
猫免疫不全ウイルス(通称猫エイズ)
感染したら陰転はしないらしいが、ウイルスを抑え込んでいけば長生きできる可能性がある
猫白血病ウイルス
感染してもウイルスを排除できる場合と、持続感染になる場合がある。感染した時の猫の年齢や免疫の状態によって、ウイルスを排除できるか持続感染になるかが変わる
猫白血病ウイルス感染症 |猫感染症研究会 (jabfid.jp)
そして家に帰る
病院からそのまま帰ってきたごいしを見ていると、何もできないことが歯がゆかった
人間が何もかも、わかっていて、なんでも思い通りになるなんて思わない
だけど・・・
陽性判明からステロイド投薬終了までの経過
9/1 元気に遊ぶ |
9/2 熱っぽい 食欲なく、遊ばない |
9/4 人の足に飛びつき、しがみついて離れようとしない 元気になり熱も下がる |
9/5 サプリメント シアルマリンをあげはじめる |
9/8 猫カビで足のはげがひろがる かゆみで噛んで皮膚もただれる 薬浴 |
9/11 調子がよさそう |
9/16 足のカビがさらに広がる 元気であるがすぐ息切れ |
10/2 すごい食欲 |
10/12 ステロイド投薬 終了 |
10/17 獣医師にインターキャットの連続注射を相談 |
猫カビ
ダブルポジティブ判明後、ステロイドの投薬も終了したが、依然、体調には波があり、カビも広がって収まらない
免疫が弱いから、カビに負けてしまう
猫カビ(皮膚糸状菌症)
他の哺乳類にもうつる人畜共通感染症。普段の生活で普通にいるカビで、免疫力が弱ったとき日和見感染する
猫カビについての私の不安と獣医師の見解
素人目には、まずは脱毛が広がった皮膚に血がじくじくしているので心配だった。また、インターネットで調べると、カビを撲滅させるために掃除消毒、使ったものの洗濯の徹底、複数回の検査、薬浴、投薬など、深刻そうであった
しかし、獣医師の話はそこまでやる必要はないとのことだった
このカビは常在菌であり、撲滅を目指すものではないし、投薬も強い薬なのでもっとひどくなってからにしようということだった。薬浴も基本はいらない
ただ手をよく洗うこと(人にもうつることがある)
とはいっても、菌を触っても元気な個体には感染しない
免疫が安定して機能すれば、カビは消えるはずだった
免疫不全のごいしが、猫カビに勝てるのだろうか
この時から、少しでも免疫強化にプラスになることがあれば、とサプリメントを考え、シアルマリンをあげてみることにした
シアルマリンは、海洋の堆積物で、糖鎖がバランスよく含まれている。糖鎖は細胞膜の保護をし、免疫力を上げることに貢献するらしい。よくわからないが天然の土の力に頼ってみようと思ったのだ
猫カビの猫と、犬の同居で気を付けたこと
・マべと会わせない。ごいしのいる部屋を1部屋に決め、基本はそこから出さないようにした
・人は、ごいしと触れ合う時の服と靴下を決め、部屋から出たら着替える
・触ったり掃除をした後の手洗いの徹底
猫カビに勝つための免疫力強化の取り組み
・免疫を強くするといわれるサプリメントを利用
・数日の塗り薬と、1回の薬浴→薬はなめるし、お風呂は嫌がるしで、ストレスを与えるデメリットの方が大きいと考え控え目に
・静かな環境と規則正しい生活リズム
不安感ともやもや感
情報を手に入れようと専門のサイトを調べるが、インターネットで調べると不安が増幅する
ひとつには、サイトによって違うことが書かれているから。よく読むと、言葉の定義が違ったり、切り取り方の違いなだけで結果同じことを言っている場合もある
そしてもうひとつは、不安をあおる言葉に注目してしまうという人間の脳の性質があるから。どうしても、悲観的で絶望的な言葉が印象に残ってしまう。また、活字になっていると、それがたとえ一つの見方でしかなかったとしても、唯一絶対で、より深刻なものに思えるということも
ごいしのかかりつけの獣医師からは、ごいしはおそらく持続感染で「発症」もしている状態であるといえると誠実に説明してもらった。発症はしているが、現れた症状にひとつひとつ対処していくことになるということだった
しかし多くの専門家のサイトには、発症=危険、このまま回復することはないと書いてあるので、それをそのまま受け取ると、絶望的な気持に引っ張られてしまう
直接見てもらっている獣医師の冷静な対応と、個人の方のブログには本当に力をもらい助けられました😸一般論や統計ではなく、個別を拾ってくれているからだと思います
情報過多な時代、時には手に入れる情報をあえて絞っていくことも大切です
猫白血病ウイルス研究の歴史という視座
猫の白血病ウイルスが発見されたのは1964年だという。これって科学の物差しの中では最近のこと
白血病ウイルスも免疫不全ウイルスも、レトロウイルスの仲間で、レトロウイルスといえば、生き物の進化の過程でDNAの中に組み込まれてきた。すでに猫も、悪さをしない内在性レトロウイルスを持っている。生き物は進化のために積極的にウイルスを取り込み、利用してきた
一方で共存し、一方で悪さをするウイルスがいる
ウイルスのことも、免疫のことも、それについて人類が知るのはまだはじまったばかりで、分かってないことがほとんど
持続感染後の生存率も統計であって、100%ではないし、ごいしがどうなるかなんて、そんなことわからない。ある程度までわかっていて、そっから先はもうわからないのだ
物理学の面白い話で、少し高いところから落としたティッシュがどこに落ちるかは予測することができないが、小惑星探査機はやぶさが地球から500光年先の惑星イトカワに行って帰ってくることは計算によって予測可能なんだそうだ。素人目には、地球から別の惑星に行くことの方が、ティッシュが落ちることよりずっと難しい気がするのに、500光年離れたイトカワに行くことの方が簡単だなんて
そして生物の体も複雑系だから、そんな簡単に答えは導けない
わからないことを受け入れる
努力でどうにかする、という発想よりも、わからないことを受け入れて対処することで気持ちの冷静さを取り戻していった
わかっていないことの方が多いという前提の上に立てば、なんだか割り切れるものもあって、その向こうに、なんかやってみようと希望も見えてきた
よし、ふんわり免疫を上げよう!作戦
10/17 獣医師にインターキャットの連続注射を相談
インターキャットというのは、もともと生体内にそんざいする生理活性物質で、抗ウイルス作用(ウイルスの増殖を抑える)を持っている。でも、それは、ネコカリシウイルスと、イヌパルボウイルスにしか有効性は認められていない(TORAYのサイトより)
ただ、たまたま見つけた論文に、猫白血病ウイルスの陰転や、猫免疫不全ウイルスに対してもその後の生存率を伸ばしたりする可能性があることが書かれていた
そのときのごいしは、カビやくしゃみ、だるさなど、体調が優れなくて、他に何もしないで見ていることがつらかったので、思い切ってその論文のことを獣医師に相談した
獣医師からは、インターキャットは治療ではないし、本来このように使うことはしない。治るわけではない、ごいしの状態だと陰転も難しいだろう、でも、治療ではないと分かっていることが前提でなら、やってみましょうか、と言ってもらえた
ごいしのインターキャット計画
5日間連続注射 |
2週間後、5日間連続注射 |
1か月後ウイルス検査で白血病が陰転していない場合、さらに5日間連続注射 |
インターキャット2クールと猫カビ陰性までの経過
10/17 獣医師にインターキャット投与の相談 |
10/23 免疫を後押しするため、マイタケDフラクション3滴/1日 森永 牛の初乳(免疫グロブリン配合)を毎日小さじ1 |
10/26~29 インターキャット 5日間連続注射 |
11/9~12,14 インターキャット 5日間連続注射 |
11/10 食欲低下 |
11/21 部屋に2mmほどの虫の卵のようなものが落ちているのに気づく |
11/25 猫カビ 陰性 |
ここで猫カビが陰性になりました😹
インターキャット連続注射中のごいしの様子は、やはりストレスはありました。5日間連続注射の間は、病院は午前中の通院だったので、午前中は気分が落ち込み、午後になると元気になるような感じでした
2クール目のとき、食欲が落ちて来たのですが、それをストレスのせいかと思っていました。でも、おなかに寄生虫がいたのです
インターキャット連続投与終了までの経過
11/26 瓜実条虫(サナダムシ)寄生が判明 ブロードラインで駆除
12/7 猫カゼ インターキャット点鼻薬で軽快 エアコンの暖房をつけたら風邪をひいたので、 冷暖両方エアコンには弱いことがわかった |
1/18 3回目のウイルス検査 猫免疫不全ウイルス 陽性 猫白血病ウイルス 弱陽性 |
1/18~21、23 インターキャット5日連続注射(3クール目・ラスト) |
この2か月後
ウイルス検査をして、結果は、1/18と同じでした。
エイズが陰転しないのは仕方ないと思っていましたが、白血病の方は、ひいきめに見て「陰性」と言いたいくらいの、うっすらとした陽性でした
家族みんなで、それを受け入れました
体調は安定し、これ以降、風邪もひいていません
3月の終わりには、去勢もしました
何事もなく、けろっと終わりました
それから、ごいしは、一度も病院に行っていません
年が明けてから、犬のマーベリックとも会わせて、半年くらいの時間をかけて、仲良くなりました
今では、2匹で毎日、元気よく追いかけっこをして、飛び回って遊んでいます
付録
①ごいしのサプリメントのこと
シアルマリン(9/5~現在は不定期で)
アニミューン(2月~継続中)
シアルマリンと同じ糖鎖のサプリですが、アニミューンはフアイアというキノコから取れる1種類の糖鎖に限定したものです
フアイアはキノコで、ヒトでの抗がん効果が認められている生薬だそうです
シアルマリンの良さは、天然の海洋堆積物なので、含まれている糖鎖の種類が多いことではないかと思います
ただ、天然なことがよい反面、そこに含まれるすべての成分、特にナトリウムとカリウムの値がわからないので、長期で摂り続けることの影響が気になります
シアルマリンは与えると元気になるし、毛艶もよくなり、目に見える変化がありました
風邪をひいたり、食欲が出ないとき、季節の変わり目など、何かの時はまた頼りにすると思います
マイタケDフラクション(10/23~1月で終了)
私はいままでサプリメントには懐疑的だったのですが、免疫力を付けるということになると、今回は頼りました
実際に変化があるのはうれしいし、そうでなくても、お守りがわりでもあります
でも、なにより大事なのは、リズムある生活と、ごはんがちゃんと食べられること、十分な遊びと睡眠、体を冷やさないことと、腸!
とりわけ、腸内細菌は大事
ごいし、マーベリックともに、乳酸菌、酪酸菌、両方、おやつやフードで上げていますが、あげてからマーベリックは季節性の体調不良がなくなりました
②ごいしのごはんのこと
ごいしが来てからずっとロイヤルカナンをベースにあげています
1歳までは、ルシャットのヌクレ(ヌクレオチド配合だったので)も混ぜてあげていました
現在は、ロイヤルカナンに、AIM30を混ぜてあげています
🐶マーベリックがそうなのですが、フードを変えると血液検査で引っかかったり、下痢や嘔吐が多くなったりすることがありますので、あうあわないはその子によってそれぞれで、これだ、というごはんを見つけるのは本当にたいへんですね。ちなみにマーベリック(7歳)は、犬心のシニアサポートで落ち着いています
③ごいしの血液検査結果
2022年8月~10月
2023年3月16日
白血球の数は落ち着き、炎症も収まっています
また、血小板が少ないのですが、顕微鏡で見ると状態がよいので、これで問題はないそうです
実際、けがをして血が出ても、すぐ止まります