桜は散ってからがまたいい。葉桜は涼しげで、心が静まって、これからまた新しい季節の始まりを感じさせる。
そして今は八重桜が満開に…
いつも命は、華やかに輝いたあと、景色に同化していく。
発現しては消え、発現しては消えて、まるで、水面の光の反射のように。
八重桜を見て、フランスのノートルダム大聖堂のことを思った。
喪失の悲しみは言葉にできない。
花を見上げ、空を見上げて思う。
形を手放してもなお存在し続けるもの
それが、そこにも、ここにも、あふれている。
きっと世界は、形のないものが、形を求めてさまよう、瞬間瞬間の旅の集まりなんだと。
もう一度、会いたい人たちや物物がある。
でも、桜を見上げ、空を見上げていると、いつのまにか景色に同化し、形を失くしたそれらに、きっと、私は、いま、ここで、会っているんだと、
そう、感じずにはいられない。
今日は、母が送ってくれた、西新宿の八重桜も添えて
東京の空にも思いを馳せる。手を伸ばせば、届きそうだ。