誰もいない自然道を歩いていたら、突然、目を引く明るい色が飛び込んできた。
近寄ってみると、サザンカだった。
通りかかる人も少ない、ひっそりした散歩道に、華やかな淡い紫が、風に揺れている。
足元にも花びらが…
マーベリックと、サザンカを見る会…
マーベリック、もしかして、あの、春に17台のバスで御苑に乗り込む会のことを考えてる?
・・・、でも、そうだね・・・
誰にも目の触れないようなところで、周囲を照らすサザンカの前で、
静謐とした時が流れる。花と対話する時間はひっそりと、内側を研ぎ澄ましてくれる。
大切な時間をたゆたう。
数に負けて、大事な何かを見失ってはいけない。
マーベリックがにやりと笑った。