この日…
マーベリックは、春が来るのを見ていた
風に揺れるユキヤナギの下
水仙は揺れ
菜の花は空に向かう
やさしい色とにおい
池の方へ回り込めば
池に迫り出した桜の枝は、今にも咲きそうなつぼみを重そうに抱え
向こうに目をやれば
ほんわりと、ピンクと白の花を咲かせた二本の木が、寄り添い、
紫のマグノリアは、帽子も取らずに、これからを待ちわびている
彼らのかたってくれる物語は、いつも、現実は、今、と、ここ、だけじゃないことを教えてくれる
彼らはみんな知っている
今、ここではない希望が、すぐ近くにあることを
彼らはやさしくうたい
物語は始まる
今とここの狭間
いつも隣にある、希望の物語が